赤ちゃんの歯磨きについて

まだ歯がすべて生えそろっていない赤ちゃんの歯磨き、よく相談があるのはだいたい生後半年くらい経って少しだけ歯が生えてきた赤ちゃんの歯磨き、どうすればいいか、今は色々な情報があって大変です。

小学生くらいの子供さんをもつ保護者の方は、ハミガキを面倒くさがることに苦労されることもあるのではないでしょうか?

赤ちゃんのハミガキ、結論から言えば「ハミガキ自体はしてもいいけど歯ブラシを使わなくてもよい」です。


???となった方、以下進んでください↓。
あくまで当院での考え方になります。多くの医院ではそれぞれの考え方があると思いますのでノークレームでお願いします。

ハミガキが大変だと思う理由は、大きく二つあります。
一つは、単純に面倒くさがってササッと終わりにしてしまうことです。これは大人の場合も同じですね。
歯と歯茎の間の部分だけを総面積で表すと大体手のひらと同じくらいになります。では、ハミガキに必要な面積はどのくらいでしょうか???
実際計測したものはありませんが、大皿一枚程度のようなイメージになると思います。

食事の後、大皿を一枚洗うのには食器用洗剤をつけてササッと洗う・・・もちろんそれはいいと思います。しかし歯ブラシで大皿一枚を洗うとなると、ちょっと大変ですよね。
その大皿と同じくらいの大きさのデコボコしたタイルを洗うとなると、ちょっと念入りに洗うことになります。
さらに、その汚れは油汚れだったりカビの汚れだったり、つまりこびりついてしまう汚れだったらもっとしっかり洗うことになると思います。

ハミガキをするにはそれ相当の時間が必要になる、ということがなんとなくイメージできるでしょうか。
もちろん虫歯や歯周病の発生原理(省略)からすれば、一日に一回、しっかり磨けば大丈夫、というデータもあります。一日に3回ハミガキするというのは、歯磨き粉を宣伝するためのキャッチコピーから刷り込まれた思い込みだったりもしますが、食後に食べかすを取り除くという意味では正しいものとも言えます。だからと言って3回ハミガキをしなくてもいいわけではありませんし、3回適当に磨くよりは1回でもしっかり磨いた方が効果的というわけです。

さて、ハミガキが大変だと思う理由のもう一つですが、こちらはお口の感覚が過敏だったり見えない部分をゴシゴシ磨くことに対する空間認識が苦手な場合だったりするものです。

現在、子供たちの中には体がふらふらしたり、じっとしていられない、などといったりした、いわゆる感覚過敏のような子供たちが増えてきています。それは昔に比べて自由な動きができないこととかストレスが大きく関係しているとか言われています。
実際、歯科治療の場合にもお口を開け続けていられない、ベロがうまく動かせない、奥歯についた汚れが毎回磨けなくて自分でもなぜ磨けないのかわからない、という子供たちが少なくありません。仕上げ磨きでも苦労することがある、という方いるのではないでしょうか。。。

ちょっと変な具体例ですが、子供がうんちをした後に自分で自分のお尻が拭けるようになるのはいつぐらいでしょう?これはだいたい4歳~5歳くらいだといわれています。そのころから自分の見えないところ、自分自身の体のイメージが認識できるようになるということですね。では、そのころから自分の口の中もハミガキをさせてあげる必要があります。でも子供にまかせっきりにはせず、おそらくほとんどの保護者の方は仕上げ磨きをしてあげることだと思います。

では、仕上げ磨きはいつまで?という疑問が出てきます。
仕上げ磨きは、だいたい自分で自分の靴紐が結べるくらいになる程度まで、と言われています。つまり微細運動、細かい作業ができる年齢、ということ分かります。
とはいえ、細かい作業ができて、自分自身のボディイメージができる、という条件がそろっていたとしても、実際それまで触れることがあまりなかったからだの一部はなかなか触ること、触られることに抵抗ないという状況にはなりません。

さて、赤ちゃんのハミガキについての話に戻ります。
ハミガキが大変だと思うことで、赤ちゃんのうちからハミガキに慣れさせよう!みたいな感じでがっつり頑張ろうとする方から、「歯が生えてきたらどうすればいいでしょうか?」または「ハミガキはどうすればいいですか?」と、ざっくりですが聞かれることがあります。
歯医者さんで、このような質問を聞かれるのは当然ですし、小さい子供さん、赤ちゃんのうちにしっかりと意識をもって質問されることは当然望ましいと思います。

一般的には赤ちゃんのハミガキ、乳児から小さい幼児程度のハミガキの仕方として、寝転がって腕を保護者の足の下に敷いて抑えることで手が出ないようにして磨く、という情景が認められます。これは一つの方法論としては正しいのでしょう。
ただ、赤ちゃんや乳児にとっての目的は「歯を磨く」ことなのでしょうか。

汚れを落とすなら、ガーゼで拭う程度でもできます。そもそもブラシで磨かなければならないような汚れや歯垢というものは歯ブラシで磨いたとしても落ちにくいはずですし、そのような食生活をしてしまうこと自体は考え直さなければならない生活習慣とも言えます。

ヒトは動物の中で、哺乳類に属する霊長類です。(少しスケールの大きな話になります)
その中でも唇を使って食べ物を摂取することができる数少ない種とも言えます。そんなヒトも舌を巧みに使えるように進化してきた歴史があります。
この口(唇や舌を含むお口の周り全体の総称として)という器官はとても繊細で敏感で、とても大切な器官だと思います。その口の敏感なところを敏感なまま年齢を重ねることのないようによく触ったりマッサージしてあげることが大切になります。

赤ちゃんにとって、ハミガキの時に感じることをイメージしてみてください。
自分より大きな大人が大きな棒のようなものを口の中に突っ込んでくる・・・そんなことがあったら大人たちでもちょっと身構えてしまって緊張してしまいます。
赤ちゃんや子どもさんだったらなおさらでしょう。

繊細で敏感なお口という器官に対して、赤ちゃんのころからゆっくりやさしく指を入れてあげること、これ自体は赤ちゃんにとってとても快感です。なんでも口に持っていく赤ちゃんが何よりの証拠ですね。

でもいつのまにか歯ブラシをお口に入れることを嫌がってしまう・・・
これは自分からお口に歯ブラシを持っていくことと、だれかに歯ブラシを突っ込まれることの違いにほかなりません。
いつしか、2歳を超えるころになると保護者の方たちがハミガキをしている様子を見て真似をしたがるようになります。そんな時、危険な状況をしっかり管理してあげるように注意しながら歯ブラシを持たせてあげます。そうして能動的に、自分から積極的に歯ブラシをもって口に入れ始めたときがハミガキの適齢期になる!と考えてあげるといいでしょう。そして仕上げ磨きも歯ブラシを使わなくても、お口をしっかりマッサージし続けてあげることが何よりのことです。ついでに汚れを落とすというイメージがあれば問題ありません。
虫歯に気を付けたい、という方もいるかもしれませんが、そもそも虫歯はハミガキよりも食生活習慣によって引き起こされるものなので、ハミガキで予防ということ自体を見直さなければならないでしょう。(詳しくは歯科医院で)

<まとめ>
歯磨きは、赤ちゃんのころからお口のマッサージ、触ってあげる、ということを第一にする
幼児期になったら自分から歯ブラシを持ってハミガキをすることが第一歩になる
本当の歯磨きというものは、とても時間のかかることだから大人でも大変