【赤ちゃん歯科】コロナ禍で注意してほしいこと

マガーク効果というものがあります。

人間は成長の中で他人がしゃべったり身振り手振りをしている様子を見ることでその状況を頭の中でイメージして、伝え手の「伝えたいこと」や「受け手」の伝わることの「情報」を共有する、そしてそれがマスクなどで見えない場合、誤解して共有してしまうことがあるということです。

赤ちゃんはマスクをしている大人の伝えたいことをしっかり十分に理解してくれるでしょうか。

また、アタッチメントという言葉があります。

これは赤ちゃんが親や養育者と肌を触れあうことで「脳が栄養を得る」、つまり成長にとって必要不可欠な「愛情」という養分ということを示しています。具体的に言えば、養育者と触れ合って育った時間が多い赤ちゃんは理知的な感情を持つということです。とてもおおざっぱに言っていますが(笑)

これからのコロナ禍の社会では、運動会など学校社会でも聞かれることですが、触れ合いができないことが赤ちゃんにとってこうしたアタッチメント効果がきちんと得られるかどうかが心配です。そしてマガーク効果によって言葉の獲得やヒアリング能力に誤解が起こってしまうのことがあり得るのではないか?ということも心配です。

赤ちゃんはその発育環境によって左右されます。しかしながらそれがすべてでもありません。

お口の発育は、赤ちゃんの発育の中でも優位に位置するものではありますが、それをきっかけにしていろいろなことを知ることができます。コロナ禍における大人の社会生活と、赤ちゃんにとって発育に快適な生活は別に考えてあげたいと思います。

まだまだ試行錯誤の社会生活が続きそうです。

<参考> 横澤一彦『つじつまを合わせたがる脳』岩波書店 2017

<参考> 月刊 小児歯科臨床 2020 9月号