いきなりタイトルでこのブログをご覧の保護者の方にドキッとさせるようなことを表現してしまい大変申し訳ありません。しかし、このタイトルの通り、いま3歳でろうそくが吹き消せない子、食べ物をフーフーして冷ませない子、ぶくぶくガラガラうがいができない子、食べ物をポロポロこぼして食べる子、などなど、意外なことと思えることが増えています。こういった問題を私たち歯科医療者は「口腔機能発達不全症」と呼んでいます。
【口腔機能発達不全症とは】
口腔機能発達不全症は、口腔内の機能が正常に発達しない状態を指します。この症状は、咀嚼(そしゃく)、嚥下(えんげ)、発音、呼吸などの基本的な口腔機能に影響を及ぼし、日常生活や成長に深刻な影響を与える可能性があります。特に子どもにおいては、口腔機能の発達は全身の健康や発育に直結しているため、早期の発見と対策が重要です。
口腔機能発達不全症は、さまざまな要因によって引き起こされます。環境要因、食習慣、生活習慣などが複雑に絡み合い、子どもたちの口腔機能に影響を与えています。特に、現代の生活環境では、口腔機能の発達に必要な刺激が不足していることが多く、これが問題を悪化させる要因となっています。

1. 原因
口腔機能発達不全症の原因は多岐にわたりますが、主に以下のような要因が考えられます。
- 生活習慣や食事内容、また口腔機能の発達を促進するような遊びや活動が不足している場合、発達に支障をきたすことがあります。
- 口呼吸や哺乳瓶の長期使用、ストローの頻繁な使用などが、口腔機能の適切な発達を妨げる要因となることがあります。
2. 症状
口腔機能発達不全症の主な症状には以下のようなものがあります。
- 噛む力の低下:咀嚼力が十分に発達していないため、食べ物をきちんと噛み砕けないことがあります。
- 飲み込みがうまくできない:唾液や食物の飲み込みがうまくいかないことがあります。
- 話し方に問題がある:発音が不明瞭になり、言葉を正確に話すのが難しい場合があります。
- 表情筋の未発達:表情が乏しくなることがあり、特に口元が発達していないことから「お口ポカン」の状態になることもあります。
3. 影響
口腔機能発達不全症は、子どもの成長に多大な影響を与えることがあります。特に、以下のような影響が考えられます。
- 栄養摂取の問題:噛む力が不十分なため、食事に支障をきたし、栄養不良の原因となることがあります。
- 言語発達の遅れ:お口の機能が不十分な場合、言葉の発音に問題が生じるため、言語発達にも遅れが生じることがあります。
- 口腔衛生の問題:唾液の分泌が不十分な場合や口呼吸が多いと、お口の内が乾燥し、むし歯や歯周病のリスクが高まることがあります。
- 全身の発育への影響:お口は体全体の発育に密接に関わっています。お口の機能が不十分な場合、体のバランスや筋力発達にも影響が出ることがあります。
4. 治療と予防
口腔機能発達不全症の治療は、症状や年齢に応じて異なります。早期の発見と適切な対応が重要です。
- 家庭での対策:親が口呼吸や哺乳瓶の長期使用を避け、コップ飲みや咀嚼のトレーニングを行うことが推奨されます。
- 矯正治療:歯並びや噛み合わせの問題が原因である場合、矯正治療を行うことがあります。
5. 予防のためにできること
予防としては、早期の発見と対応が鍵となります。
- 適切な食事指導:噛む力を鍛えるため、歯ごたえのある食べ物を提供するなどの工夫をすることが重要です。
- 口腔トレーニング:子どもに楽しく、口腔機能を鍛える遊びを取り入れることで、自然と発達を促進することが可能です。
口腔機能発達不全症は、幼少期から適切な対応を行うことで改善が見込めます。お子さんの成長と健康を守るためにも、早期の発見と適切な対応が重要です。
【3歳でお口ポカンが増えている現状】
最近の調査やウェブサイトのニュースでは、3歳児の中で「お口ポカン」として知られる、口を開けたままの状態が増加していることが報告されています。これは、過去にはあまり見られなかった現象であり、子どもたちの口腔機能の低下を示す重要なサインです。
お口ポカンの状態は、口腔機能の発達において非常に懸念されるべき事象です。口を開けたままの状態が続くと、口腔内の筋肉が十分に使われず、咀嚼や嚥下、発音に問題が生じる可能性があります。また、口を開けていることで、口腔内の乾燥や虫歯のリスクも高まります。このような現状を受けて、親や保護者は子どもたちの口腔機能に対する意識を高め、適切な対策を講じる必要があります。
【2歳で吹き戻しができるか】
2歳児において、吹き戻しができるかどうかは、口腔機能の発達を測る重要な指標です。昔は、子どもたちは自然の中で遊びながら、草笛を吹いたり、風船を膨らませたりすることで、自然と口の使い方を学んでいました。しかし、現代ではデジタル機器の普及や屋内遊びの増加により、こうした機会が減少しています。
吹き戻しができることは、口の筋肉を使う良い練習となり、標準的な発達を促進します。逆に、吹き戻しができない場合、口腔機能の発達に問題がある可能性があります。親や保護者は、子どもたちが遊びを通じて口の使い方を学べるような環境を整えることが重要です。

【1歳で唾液がきちんと飲み込めているか】
1歳児にとって、食べ物を通じて口の使い方を学ぶことは非常に重要です。食事中にお口を閉じて鼻呼吸ができることは、口腔機能の発達に寄与します。お口をしっかり閉じていると、唾液が自然に飲み込まれるため、口腔内の健康を保つことができます。
唾液の飲み込みがスムーズであることは、口腔機能の正常な発達を示す重要な指標です。逆に、口を開けたままの状態が続くと、唾液の分泌や飲み込みに問題が生じる可能性があります。親は、子どもが食事中にお口を閉じているかどうかを観察し、必要に応じて指導することが大切です。

【0歳で身体がバランスよく整っているか】
口腔機能の発達は、身体全体の健康と密接に関連しています。0歳の赤ちゃんは、体を動かして遊ぶこと、十分な睡眠をとること、適切な排便を行うことが重要です。これらの要素は、身体のバランスを整え、口腔の発育を促進します。
特に、遊びを通じて身体を動かすことは、口腔機能の発達に必要な筋肉を鍛える良い機会となります。赤ちゃんが自由に動き回ることで、全身の筋肉が発達し、口腔機能にも良い影響を与えます。親は、赤ちゃんが十分に遊ぶ時間を確保し、身体の発達を促す環境を整えることが求められます。

【コラム:ストローは口腔発育にとってあまり良くない】
ストローは便利な道具ですが、口腔発育においてはあまり良くないとされています。ストローを使うことで、口の中が陰圧になり、口腔内の筋肉を十分に使う機会が減少します。そのため、口腔機能を健全に発達させるためには、コップ飲みが推奨されています。
コップ飲みは、口の筋肉を使い、自然な飲み込みを促進するため、口腔機能の発達に寄与します。特に、幼少期においては、口腔機能の発達が全身の健康に影響を与えるため、親や保護者は子どもたちにコップ飲みを促すことが重要です。

【まとめ】
口腔機能発達不全症は、子どもたちの成長において重要な問題です。現代の生活環境や遊び方の変化が、口腔機能の発達に影響を与えていることを理解し、早期の対策を講じることが求められます。親や保護者は、子どもたちが自然に口の使い方を学べる環境を整え、健康な口腔機能を育むためのサポートを行うことが大切です。
口腔機能の発達は、子どもたちの健康や成長にとって非常に重要です。私たち大人が意識して、子どもたちの口腔機能をサポートすることで、健全な成長を促進することができるのです。