子どもの口臭・・・気になる時ありませんか?

 

【はじめに】
【口臭の原因と対策】
①お口の清掃不良
②唾液の分泌不足(口呼吸の習慣)
③消化器系の問題
【さいごに】

【はじめに】
 親として、子どもの健康状態は常に気になるものです。特に、子どもの口臭(こうしゅう)については、予想外の不安や心配を抱くことも少なくありません。「大人ならともかく、まだ小さな子どもに口臭があるなんて…」と驚かれる方も多いでしょう。
 実際、当院に来られる0歳の赤ちゃんでも、特に離乳食が始まってから口臭がするという心配を抱えて来院される方がいらっしゃいます。それまでは赤ちゃん特有のいい匂いが、突然大人のような口臭を感じてしまうことにショックを受けてしまう方もいらっしゃいます。
 ほとんどの場合は問題になるようなことではありませんが、気になるといえばやはり気になるもののようです。
 では、子どもの口臭とは具体的にどういうものなのでしょうか?そして、その原因には何が考えられるのでしょうか?本記事では、子どもの口臭の実態とその背後にある原因について詳しく解説していきます。

【口臭の原因】
 口臭とは、お口から発生する不快な臭いのことを指します。多くの人は口臭を大人の問題と考えがちですが、実際には子どもにも口臭が発生することがあります。子どもの口臭は、大人と同様にさまざまな要因によって引き起こされますが、特に成長過程にある子どもならではの原因も存在します。子どもの口臭は一時的なものから慢性的なものまで様々であり、その発生頻度や臭いの強さは個々の健康状態や生活習慣によって異なります。
子どもの口臭の原因は多岐にわたりますが、主な原因として以下のようなものが考えられます。

①お口の清掃不良
 子どもの口臭の最も一般的な原因の一つは、口腔衛生の不十分さです。小さな子どもの場合、自分で十分に歯磨きができないことが多く、歯の隙間や奥歯に食べ物のカスが残ってしまうことがあります。これが細菌の繁殖を促し、悪臭を引き起こす原因となります。また、乳歯が生えそろっていない赤ちゃんの場合、おっぱいやミルクの残りカスが舌にたまって汚れとして臭いの原因になるガスを発生することで口臭の原因となることがあります。
 それ自体が問題があるわけではありませんが、体調の変化などにより鵞口瘡(がこうそう)という状況になってしまうことがあります。それは舌に苔がまとわりつくように白い膜で覆われてしまう状況になります。この膜自体がカンジダ菌という微生物の集まりだったり歯垢と同じ細菌の集まりだったりします。
 よく拭ってあげることで改善することがありますが、たとえば次にあげるような唾液の分泌不足や口呼吸によるお口の乾燥が原因である場合は、まずは呼吸機能の改善が必要になります。

②唾液の分泌不足(口呼吸の習慣)
 唾液はお口の健康を保つために非常に重要な役割を果たします。唾液には、お口の細菌の増殖を抑制する働きがありますが、唾液の分泌が不足すると、この防御機能が低下し、口臭の原因となることがあります。特に、寝起きの時間帯や長時間口を開けている場合、口腔内が乾燥して唾液の分泌が減少し、口臭が強くなることがあります。
 たとえば、唾液分泌を低下させる要因の一つとして、口呼吸が考えられます。口で呼吸することで、口腔内が乾燥しやすくなり、唾液の分泌が減少します。その結果、細菌が繁殖しやすくなり、口臭が発生しやすくなります。
 なお、口呼吸の原因としては、アレルギーや鼻づまり、扁桃腺の腫れなど、呼吸器に関連する問題が考えられます。赤ちゃんに扁桃腺の腫れは考えにくい問題ではありますが、風邪をきっかけにした鼻炎や鼻づまりで鼻呼吸しにくい状況は十分に考えられるものです。実は鼻づまりが鼻炎によるものの場合、骨格の成長不足に関係してしまうこともあるため、長期的な成長を考えた場合は案外馬鹿にできません。当院では鼻づまりはお口の健康に直結する問題として考えておりますので、必要に応じて耳鼻科や小児科での対診をお願いするか、あるいは鼻汁を吸引するための対策をお伝えすることがあります。

③消化器系の問題
 口臭はお口の内だけでなく、消化器系の問題からも発生することがあります。例えば、胃酸の逆流や消化不良、便秘などが原因で、口腔内に不快な臭いが生じることがあります。子どもの場合、これらの問題はしばしば食生活の乱れや不規則な生活、あるいは睡眠の質の低下などに起因することがあります。
 赤ちゃんの場合、特に24時間の分別があるわけではないため夜中の半覚醒により自律神経が不安定になりがちです。その結果、消化器系の機能不良により便秘になるということも少なくありません。結果的に腸内細菌が働かない、働きにくい状況になるため、良い睡眠を整えるのとあわせて腸内細菌の環境を整えることも一つの対策として考えられます。
 当院では「バイオガイア®」という商品の力を借りて腸内細菌を整えることをご提案することがあります。これはヒト由来の乳酸菌の力をもって善玉菌を増やす、悪玉菌を駆逐して腸内細菌叢バランスの改善を試みる方法です。バイオガイア®はサプリメントになりますので医療的行為にはなりませんが、巡り巡って口臭の改善に一役買っていただけるものとして考えております。

【さいごに】
口臭は、健康状態や特定の病気の兆候であることもあります。例えば、糖尿病や肝臓、腎臓の疾患、または呼吸器系の感染症などが原因で、特有の臭いが発生することがあります。これらの病気が疑われる場合には、小児科や耳鼻咽喉科の医師の診察を受けることも大切です。
とはいえ、赤ちゃんの口臭に関してはそこまで大きな関心ごとにはならないものでありながら、ものによっては顎の発育や虫歯、歯周病に影響を及ぼす細菌叢バランスのことに関係することもあり得ます。
もし気になるようでしたら一度相談していただければと思います。